Aglaonema sp.
今回の成果ですが、写真のような模様入りのAglaonemaを少し見つけることが出来ました。
一見するとpictumのようにも見えるのですが、周囲に似たような模様が入りのないsimplexが無数に生えているため、pictumではないのかなとも思います。
また、一般的にpictumはビロード状の葉を持つことが多いと思うのですが、今回、シムルエ島で見た株はどれもsimplex同様にツヤ葉のものであり、simplexの模様入りとも考えられます。
ですので、今回の株は全てsp. でリリースしたいと思います。
シメルー島ではAglaonema simplexが非常に多産します。僕が今まで見てきた産地の中で最も密度が濃いです。
生えている沢には数百株が生えており、一週間近くシメルー島に滞在している間に一万株近い株を見たかと思います。
そして、その内、模様の入る株は体感的には100株に1株ほど。しかも、pictumのように派手な個体はほとんどありません。
また、模様が入る株の割合が多いか少ないかは沢次第で、生えていない沢には無地のものしかなく、生えている沢には何タイプか生えていたりします。
このあたりはリンガ島の赤銀のホマロメナのあるなしと同じ感じですね。
自生地を見てきた自分の個人的な考察としては、シムルエ島には元々simplexとpictumが混生していて、これらが交雑し、長い年月をかけて、simplexが優勢になり、pictumらしさを持った今回のような株が時おり出現するようになったのではないかといった感じ。
実際にはゲノムを調べないと正確なことは言えませんが、今回の株はpictumとsimplexの自然交雑のように感じます。
実際、自生地では圧倒的にsimplex優勢であり、pictumが生えていそうな場所は全てsimplexに独占されていました。確実にpictumと呼べる株を発見することは出来ませんでしたが、島のどこかにsimplexの侵略を受けずにひっそりとpictumが生えているかもしれません。今回のシメルー島のビロード状の葉を持たないツヤ葉のAglaonemaがpictumとsimplexの交雑であるならば、同様に、ニアス島やシベル島のツヤ葉のAglaonema pictumも一部simplexが混じっているのかもしれませんね。